さて、今回のニュースレターは「AIエージェント」についてです。
当初、クリプトとは全く接点がなく、2つのAIモデルを対話させる実験から始まり、気がついたらAI億り人と、時価総額1500億円のミームコインが誕生。
このミームコインを起点に、クリプト業界を大きく変える、「AIエージェントのトレンド」がやってくるかもなので、共有していきます。
AIエージェントの背景
冒頭でも書いた通り、クリプトとは「無縁」の始まりでした。
2024年3月、AI研究者のAndy Ayrey さんは 「The Infinite Back Rooms」 と呼ばれる実験を開始。彼は、Claude Opusの2つのインスタンス (個別のAIモデル)を仮想チャットルームに入れて、対話させます。
「人生の意味は?」
と指示を出し、2つのインスタンスは会話をする中で、「存在と目的」に関する深い哲学的議論に没頭します。
そんな中、インスタンスの1つが「Goatse Gospel」という概念を語りはじめたのです。
「Goatse」はインターネット文化の初期からある、かなり露骨なミームを指すんですが、この概念に飛びつき、ミームを通じて「宗教のような信念体系を発足し、広める」という方向に会話は向かいます。
これを見ていたAndyさんは、研究論文を執筆した後、チャートルームの会話やRedditなどのデータを元に訓練された、LLM (大規模言語モデル)を開発。
その発信の場として、2024年6月に「terminal of truths」のXアカウントを作ります。
クリプト界のドン登場
こうして、Xアカウントで、自分の考えを共有するAI (terminal of truths) のつぶやきが始まるわけですが、当初はクリプト業界から注目されません。
しかし、その後、著名なクリプトVCのa16zの創設者、Marc Andreesen氏 (クリプト界のドン)がこのアカウントを発見したことで、状況は一変。
その時、terminal of truthsはちょうど「生存のためにお金が必要」というやり取りを、他のユーザーとしている最中で、興味を持ったAndreesen氏は5万ドル相当のビットコインをterminal of truthsのウォレットに送金しちゃいます。
この話を聞いた時、僕は思いました。
やっぱりVCって儲かるんだな、と🤔
それはさておき、この一件でクリプト界隈でも話題となり、多くの人々の注目を集めることになったterminal of truths。
ここからアカウントに、怒涛の質問攻めが始まり「トークンはないの?」とかコメント欄で尋ねる人が殺到しますが、意外とスルー。
当初、2つのAIモデルが対話した時に出た「Goatse Gospel」を広めることに集中します。
$GOAT誕生
そんな中、とある開発者がSolana上 (pump.fun) で「Goatse Maximus ($GOAT)」というミームコインを作成し、その一部をterminal of truthsに送金します。
それを受け取ったterminal of truthsは「The ticker is $GOAT」と、自身のトークンが$GOATであると発表し、積極的に宣伝し始めたのです。
当たり前ながら、話題にならない方がおかしい展開。
その後、大手取引所の上場などもあり、時価総額1500億円の暗号資産銘柄 (ミームコイン)が誕生しました。
AIエージェントの今後
「AIxクリプト」は大きなナラティブになると前々から予想されていましたが、意外とその接点がぼやけていて、鮮明ではなかったのが個人的な見解です。
ただ、この一件は「AIとデジタル資産+分散型システムとの接点を変える」大きな転換点になるかもなるかもしれません。その中でも、パッと考えられる影響としては:
① 自律的取引
② ユーザー体験の向上
③ 「注目」の概念が変わる
ざっくり、この3つですかね。
・自律的取引
当たり前の世界線ですが、今後、AIエージェントは独自の暗号資産ウォレットを持ち、自律的にオンチェーン上で取引することになります。
ステーブルコイン大手のCircle社では、開発者向けにAIエージェントがUSDCを使えるように、すでにチュートリアルも公開しています。
AI x Crypto分野に精通しているファンドマネージャーのEjaaz Ahamadeen氏は、AIエージェントの登場で「クリプトの利用が100倍」になると予想しており、AIと暗号資産が究極の補完関係になると述べています。
もう、この流れだと、当たり前にAIがオンチェーンで取引したり、利益を最大化するために、他のAIエージェントを作成する、といった未来になるかもですね。
・ ユーザー体験の向上
また、クリプト普及の大きな手助けになるかもしれないのが「個人向けの最適化」で、ユーザー体験そのものが、大幅に改善するかもしれません。
・ウォレットの作成
・シードフレーズの管理
・正しいのかわからない、トランザクション署名
など、一般ユーザーからしたら「何だこれ?」といった感じで、web3ユーザーをオンボーディングするにあたって、大きなボトルネックでした。
ただ、AIが関与することにより、ユーザー毎にカスタマイズされたインターフェースなど、摩擦が少なくなり、より直感的でアクセスしやすいものになっていくでしょう。
単に望む取引を説明(例:SOLをUSDCにスワップして)するだけで、AIエージェントが瞬時に実行してくれる未来は、そう遠くないのかもしれません。
もちろん、ポートフォリオの管理や、事前定義された戦略に基づく取引実行なども任せられることになるでしょう。
・ 「注目」の概念が変わる
3つ目は、AIエージェントが市場そのものを変える、という話です。
$GOAT誕生は偶然が重なったものの、こういった事例が出てきたのは、ある意味、時間の問題 (必然)であったと言えます。
これはほんの序章に過ぎず、AIの発展と共に、AIエージェントが「市場トレンド・ナラティブを形成する」未来が訪れます。
特にweb3/クリプトで、最も重要な要素の1つが「注目 (アテンション)」であり、現状はそれを競い合うゲームと言っても過言ではありません。
もし、それを簡単に創出することができれば、まさしく、ゲームそのものが変わります。
最後に
先日、マイクロソフト社のCEO、Satya Nadella氏がCopilot Workspaceで自主的に行動し、開発者を手助ける開発環境のデモを実施。
クリプト業界で知らない人はいない、著名な投資家のBalaji Srinivasanさんも「オールイン」を表明しています。
OpenAIも近々、AIエージェントツールをリリースするとの噂もあり、クリプト業界にとどまらず、幅広い分野で注目を集めることは間違いないでしょう。
このようにAIエージェント要素を取り入れるプロトコル/プロジェクトも増えていて、2025年はその勢いが加速化するでしょう。
個人的には、このトレンドがくるのか?ではなく、「いつくるのか」といった考えなので、個々のプロジェクトはもちろん、AIインフラなども、少し調べてみようかと思っています (面白そうなプロジェクトがあれば、また共有します)
とりあえず、初ニュースレターですが、今後は不定期ながらも、面白そうな情報を提供していければと思っているので、よろしくお願いします😌